| 83y0 様 | ||
| code#minor | ||
| 復讐ごっこ | ||
第三者からしてみれば其れは単なる無駄な殺生なのかもしれないけれど
本人からしてみれば其れにも全く正当な理由があるのだ。
だからサンジは、そんな彼の心を大事にしようと思う。
夕陽を背にして、舞うように人を斬るゾロは綺麗だ。
理由を差し引いたところで、どうしてこの光景を見ないでいられるだろう。
夕陽の丘と、大海原と、三代鬼徹の煌きと、ゾロの瞳。
この意義或る誅戮を見守る事こそ
恋人である自分の義務であり、揺るぎない権利だと思う。
密かに感じている『至福の瞬間』だなんて。
本人には絶対に言ってやらないけれど。
無くせない。
例えば其れが、何人、何十人、何百人、何千人との命と引き換えだとしても。
この世の縁から手が離れようとしている男がまた一人
サンジの眼前に転がって、必死で手を伸ばしてくる。
見下ろしながら形式的に十字を切って手を合わせてやる。
呪うなら自分の愚かな言動なり行動に対してだ。
だって仕方がないだろうと、サンジは悠々と煙草を吹かしながら思った。
アイツを怒らせた方が悪いんだ。
足元に飛び散る鮮血の色合い。
コレで、最後に蛙を握り潰したような醜い断末魔が無ければ尚いいのに。
「……に、手ぇだしちゃダメだよ、おっさん」
黒手拭を外しながら抱き寄せてくるゾロにキスを返しつつ
親切心で小さくアドバイスなどしてやる。
くれぐれも、来世ではお気をつけて。
尤も、今の彼に其の声が届いているのかは甚だ疑問では或る。
ゾロは独占欲が強い。
嫉妬心も強い。
所有欲も強いし、征服欲も強い。
矢鱈と好戦的だし、嗜虐的にするセックスが好きだ。
首筋を噛まれながら強く奥を抉られるときなんか、虎か鮫にでも食われている気分になる。
実際鮫は交尾をするときに相手の首に噛み付くらしいから、前世は本当に鮫だったのかもしれない。
其れが最高にキモチイイわけだから、自分も大概だとサンジは思う。
外に出せと何度言っても、ゾロは必ずサンジの中で射精する。
男のロマンだろ、という言い分は分からないでもないし
自分だって別に嫌なわけでもない。
ただ後処理が面倒だし、翌朝少し辛いので、とりあえず言っておかないと
自分も彼もそういった『日常のアレコレ』を忘れがちになってしまうからと。
まあ、言ってしまえば二人の合図のようなもので、其れには特に意味も無い。
歯形とか、爪痕とか、キスマークだとか。
サンジの肌は白くて柔らかいから容易に痕が残ってしまう。
そういった部分もゾロはいたくお気に召しているらしく、てめえはつくづく最高だな等と言う。
実際相性は抜群だと思う。いろいろな意味を含めて。
ゾロは、太股の内側とか、耳の裏側とか、二の腕の腋に近い部分とか
後は、オーソドックスに首筋なんかに痕を残すのが好きらしい。
其の中でも彼が特に好む部位として、鎖骨のやや下、というのがある。
其処に付けるとサンジが開襟を着ている時なんか
見えそうで見えない。または、見えていなさそうで見えている。
という絶妙な具合にそそられて、その『むず痒い感じ』がたまらなくイイのだそうだ。
夜が待ちきれなくなる、と冗談めかしてはいるものの
実際真昼間から、ラウンジ、倉庫、格納庫、男部屋、後部甲板、見張り台諸々で
事に及んだ事は何度もあるので笑えない。
クルーには大体一人につき一度は其の場面を目撃されている。
見られていてもゾロは一向に頓着しないし、逆に燃えるのか見せつけるように激しく動く。
サンジは一応抗うような素振りを見せるものの
どちらにせよ引き返せないところにいる(勿論精神的な意味合いで)のが殆どだったので
結局打ち付けるリズムに合わせて高く声を上げさせられて
挙句の果てに見られている興奮が過ぎて其のままイってしまうことまであった。
あの時のウソップの唖然とした顔と言ったら。
本当に、申し訳ないことをしたと思っている。
特に反省はしていないけれど。
……嗚呼、何度思い出しても笑える。あのウソップの顔。
二人にとっては、陸の生活、と言うのも楽しみの一つだ。
荷物持ちと言う名目で買出しに付き合わせて
(其の『名目』自体だって無駄と言えば無駄だけれど)
(けれどまあ、一応クルーとして形だけでも。嘘というわけでもないし)
帰りに安宿で『ご休憩』もしくは『ご宿泊』をする。
狭くてベッドしかない、殺風景な部屋が殆どだけれど
たまに天井が鏡張りだったり、外観がお城だったり
風呂場がマジックミラーになっているような所謂『連れ込み』
(ゾロは『ラブホテル』という名称を好まない)を見つける事もある。
そんなときは面白がって即其処に決める。
部屋は当然、一番珍妙なものを好んで選ぶ。
例えば、拘束具常備で薄暗いSM部屋とか、今時丸いベッドがある!とかで。
けれど何よりも面白いのは、二人がただブラブラと当て所なく街中を歩いているときで
悪目立ちする緑頭と金髪の組み合わせは、事ある毎にハプニングに巻き込まれた。
ゾロが迷子になる事は日常茶飯事なので
サンジは大体、彼の行きそうな場所の見当がつく位までには慣れているのだけれど
見つけた時には横に、美女とかゲイとかおかまとかが張り付いているのが殆どだった。
逆にサンジが其のどれかにくっつかれている事もあれば
どちらか、もしくは二人ともが暴漢に絡まれている事もあった。
勿論此処までは、あまり気持ちのいいものではない。
面白いのは其の後で、二人は互いの体に纏わりついていた
其の『どちら様』かにちょっとした御灸を据えてやるのだ。
二人は其の遊びを『復讐ごっこ』と呼んでいる。
サンジの『復讐』は、其の『仇』が男の場合、とにかく真っ先に脚が出る。
何故ならサンジは非常に潔癖且つ、短気な気性の持ち主なので
其の『薄汚れた』のが少しでも『自分の』に触れたと思うと我慢ならないのだから仕方が無い。
そいつが空腹でも訴えてくれば話は別だけれど、今のところそういった展開にはなったためしがない。
一通り蹴りつけて満足するとケロッと機嫌が直って、また楽しい気分で陸の時間を過ごす事が出来る。
潔いところも美点だと、サンジは自分で大真面目に思っている節がある。
一方相手が美女の場合は、一頻り褒め称えて、笑顔を振り撒いて、大いにサービスをする。
少しだけ三人で一緒にいて十二分に彼女を満足させたら、あるタイミングで上手く別れる。
其れからその娘の目が未だあるうちに、サンジのほうからゾロにキスをする。
舌を絡めて、唾液を交換し合うような濃厚なヤツ。
横目でちらりとその娘の見開かれた眼を見て、にこりと微笑む。
出来得る限り妖艶に、嫣然と、官能的に見えるように。
レディに対して笑顔を絶やさないのは、サンジの信念なわけだし。
こういう時のゾロの凄艶さと言ったらないから、一種のサービスとも言えると思う。
どうせゾロに触れることはもう二度と出来ないんだから、せめてコレくらいしてあげてもいいだろう。
ゾロの場合、普段はそれほど大した『復讐』はしない。
相手を射殺しそうな殺気を放って、三日三晩廃人にするくらいだろうか。
四日目の朝からは何とか人生を取り戻せるので、聊か優しすぎる。
女性に対してだと、もう少し軽い威嚇程度なので
(それでもレディに対してなんて失礼をするんだとサンジはいつも憤る、アフターフォローも忘れない)
ゾロの復讐ごっこは、全く復讐足り得ない。
普段は。
そう、普段は。
「……『普段じゃない』時って、一体どういう時なワケ?」
ナミは、サンジの発する弾んだ声に軽い眩暈を覚えながら、手にしたマティーニを勢いよく呷った。
まさかマティーニをがぶ飲みしてしまう日が来るとは、さしものナミも思っていなかった。
カクテルは少しずつ、その愛らしい色合いと、仄かな甘味を楽しむものだと決めていたのに。
けれど、今日ばかりは話が別だと、思うことにする。
これはカクテルではないの、単なるジンと、ベルモットの混ぜモノよ。美味しいけど。
自分自身に暗示を掛けながらナミは、酩酊状態のサンジを一瞥した。
「『普段じゃない』時な、うん、ちょうど昨日がそうだったんだけどね」
すっげえんだよ、ゾロの『復讐ごっこ』。
うっとりとしながら、サンジはラウンジのテーブルに頬を擦り付けている。
「綺麗なんだ、ホントに」
ゾロの事を話すサンジは時折、ぞっとするほど閉鎖的な声を出す。
澄んだシエラブルーの瞳が、色の無い硝子球、もしくは光り輝くようなアクアマリンに成り代わる瞬間。
小さく息を吐き出して密かに気合を入れてから、話の続きを促した。
コレだけでも十分に疲れ果ててしまってはいるけれど、今聞くのをやめてしまうのは勿体無い。
二人の秘密を垣間見れるチャンスはきっともう二度と来ないと、ナミには分かりきっていた。
「昨日ね、おれ、ちょっと変なのに絡まれてさ……」
例の如くゾロを探して街中を歩き回っていたときの事だった。
途中すれ違った三人の男たちが不自然にぶつかって来て
明らかに向こうが悪いのに何故だか難癖をつけられた。
使い古されて芸の無い絡み方だと呆れながら、両腕に抱えた紙袋を見遣る。
こんな時に限って其の中身は卵とか、苺とか、潰れやすいようなものばかりだから面倒だ。
さてどうするかな、そろそろゾロと遭遇しそうなポイントなんだけど、と辺りを見回していたら
其の態度が余程気に入らなかったのか、三人が三人とも奇声を発しながら襲い掛かってきた。
(何か言葉を話していたのだろうが、あまりに品の無い発音だったのでサンジにはよく聞き取れなかった)
彼らは笑えるほどに雑魚だったけれど、雑魚ゆえに
持っていたサーベルの切っ先がサンジではなくて、サンジの持っている食材の袋に当たりそうになった。
咄嗟に体を捻って避けようとしたけれど間に合いそうにない。
このまま食材を守れば左手に傷がつくなと冷静に考えて
嗚呼そうしたらどうなるかな、其れを例えばゾロが見たら、といつもの悪い癖で想像してしまう。
ゾロが、見たら。
ちらりと雑念が頭を過ぎった束の間。
サンジの読み通りの軌道を描いた切っ先に、左の手の甲を薄く切らせてしまった。
手を傷つけられた。
自分の機嫌が急降下するのを米神辺りで感じながら、とりあえず食材を脇に避難させる。
サンジの実力を完全に読み違えているバカドモが、ニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべながら近づいてくる。
ワザと反撃しなかったサンジの真意には全く気がついていない。
挙句の果てに『にいちゃん、男なのにお料理かい?おうちで旦那が待ってんのかな?』と言う。
丁度其の時、サンジは目の端に見慣れた色合いを捉えた。
なんてタイミングだと半ば感心しながらも、振り上げようとしていた右足から力を抜く。
自然な立ち姿に戻ったサンジを見て、観念したかと誤解した三人は口々にサンジを辱める事ばかり言う。
あろう事か自慢のノルディック・ブロンドに指を伸ばしてきながら。
女の子みたいに華奢だもんなア。
金髪碧眼ってこたあ、ノースの出かい?
腰細え……おいおまえ、男咥え込んだ事あっか。
こんなのにおれの挿れたら壊れちまいそうだよなあ。
ぎゃはははは。
「…………」
下品な上に、顔も頭もスタイルも間も悪いだなんて。
こいつ等の人生本当に悲惨だったなぁ、とサンジはむしろ彼らに同情さえした。
自分たちから少し離れたところに立ってじっと此方を見ている人影に
眼だけでからかうように笑って見せると、無表情だった顔の眉がほんの数ミリ寄る。
それから不意に、彼から見える位置まで腕を上げて合図するみたいにひらりと振ってみせた。
今しがた赤い線の入ってしまった、左手の甲。
瞬間、ざわりと、其の場の空気が心地好い不穏で満たされた。
ぞくぞくして、唇の端が引きあがる。
頭の中で想像した『例えば』が現実になる瞬間というのは、何度経験しても凄絶に愉快だ。
「っ」
「な、何……」
恐慌状態で、其れなのに指先をピクリとも動かす事が出来ないまま
男たちは急に自分たちに襲いかかった寒気と、重圧と、恐怖とを一度に感じて固まってしまう。
「残念だったなあ」
言葉で侮辱しただろ、髪や肌に触っただろ、それから手に傷を付けただろ、其れをゾロに見られただろ。
サンジは指折り数えつつ、今までの経験も踏まえて計算してから、男たちを哀れむように眺めて言った。
「どう軽く見積もったところで、てめえら、普通の死に方は出来ねえよ」
ご愁傷様。
煙草を噛んで笑いながら言うと、男たちの体は目に見えて震え出した。
ゾロの殺気は、彼らを殺すまで治まらないから
死んでしまう其の瞬間まできっと、物凄い苦痛なんだろうなとぼんやり考えた。
けれど、そんな事よりも、と。
サンジは自分の胸に煮え滾るような熱さを感じて、其の場所に掌を押し当てる。
同時に腰から背中にかけて、駆け上がるような震えを感じた。
自分はこれからまた、ゾロの『復讐』を目にする事ができる。
嗚呼、一体どれくらいぶりだろう。
あの美しい光景を見るのは。
久々の高揚に恍惚となりながらサンジは
近づいてくるゾロの目の中に宿っている凶暴な狂気を愛しげに見つめた。
猫は鼠を極限まで甚振って遊ぶ。
飽きないとやめない。
ゾロの『復讐』と、『鼠を甚振る猫』とで決定的に違うところは
邪気があるかないかと、それに芸術性があるかどうかと、単純に美しいかどうかと。
探せばまだまだ沢山ある。
アレが残酷だなんて如何して思うのだろう。
だって彼の行為には確固とした理由があるわけだし
何よりも其の場面には、良質な絵画のような、名作映画のような、そういった恭しい趣がある。
意外とロマンチストで完璧主義者なのだ、ゾロは。
惨めったらしく身を縮めている三人を引きずってゾロが向かったのは、拓けた丘の上だった。
視界一杯に広がる海のパノラマ。
多分当てずっぽうに歩いただけだろうと思うのに
毎度毎度如何してこうも理想的な場所を見つけることができるのだろう。
いつだったか、一面に鮮やかなアザミが咲き乱れていた場所でした復讐もあった。
後からアザミの花言葉が其のまま『復讐』だった事を知って、腹を抱えて笑ってしまったりもした。
其の時に側にいたロビンは少しばかり驚いた顔をしていた。
勿論アザミも綺麗だったけれど、桜吹雪の中での復讐は正しく圧巻だった。
獣の眼光での流し目。白に近い桃色の可憐な花弁。
静かなゾロの怒りが大気を震わせて、狂ったように舞い散っていた。
断崖絶壁、月夜の荒野、流氷の上、滝の麓、思い出したらキリが無い。
肥大した太陽が、上質で新鮮な卵の卵黄みたいな色で海に沈んでゆくのが見える。
復讐に一文字は使わない。
必ず其れはサンジに預けて、戒めには主に鬼徹を使う。
ゾロの意思を汲み取って、嬉しそうに血を吸う妖刀。
サンジは白い刀を胸に抱きしめながら、ただ黙って始まりを待つ。
鬼徹の乱刃が夕陽の紅を反射する。
頭に黒手拭を巻いたゾロの目元に影が落ちて、其れが殊更眼光の鋭さを際立たせている。
男たちは縄で縛っているわけでもないのに其の場から動けない。
一ミリでも動けば次の瞬間、首と胴体が切り離されるのが分かっているから。
尤も、其の想像は厳密に言えば外れているのだけれど。
そんなに簡単に死なれたのでは『復讐』にならない。
弐斬りの構え→登楼→応登楼→閃→砂紋→三十六煩悩鳳→犀回→鷹波→七十二煩悩鳳。
又は、弐斬りの構え→登楼→応登楼→閃→砂紋、までは同じで、其の後特別に羅生門を使ってやることもあるし
使う技はゾロの気分次第でコロコロ変わる。
最後の技を出し切るまで死なないように、常に加減をしたり、当たり所を計算してもいる。
勿論、これは止めを刺すときのレパートリーで、其れまでは名のある技など使わない。
其れこそ猫のように『ネズミたち』を死なない程度に甚振って遊ぶ。
サンジは其の『甚振っている』間のゾロの動きが特に好きで、つい呼吸も忘れて見入ってしまう。
流れるような一連の動作は常に美しく、剣舞のような神聖さがある。
奴等の悲鳴は耳障りだけれど、其れを凌駕して余りあるほどの絶景だと思う。
薄汚れた血飛沫は、ゾロの体には当たらない。
ただ刀の起こす風の上で花弁のように舞って、彼の周りをひらひらと飾り立てている。
まるで解放を喜んでいるように踊る。
其れを見るにつけ、嗚呼アレはゾロを敬っているのだろうな、とサンジは直感する。
あの醜い器の中で泳ぐ事にくたびれ果てていたのだ、彼らも。
波が静かに揺らめいている。
海の中で歪められた太陽が、殊更紅く光り輝いている。
唇を触れ合わせながら声を出して笑うと、やっとゾロの目元も和らいだ。
それから、サンジの左手を取って軽く舌打ちをする。
無様に転がっている肉塊を見下ろしながら、こんな傷つけやがって、と怨み言を言う。
糸のような赤い線はもう既にかさぶたになっていて、この分なら一週間もすれば消えてしまうだろう。
「もう触られんなよ、手も……」
ゾロは、サンジ以上に、サンジの手に傷が付くのを嫌う。
自分以外の人間がサンジに必要以上に触れるのも
言葉で辱めるのも嫌う。
無論サンジとて其れは同じ事だけれど。
ゾロに触れてもいいのは自分だけだ。
キスをして、手を握って、頭を撫でて、頬を擦って。
そうして一通り労わってから、ゾロは必ず嬲るみたいな眼をしてサンジに忠告をする。
「おれ以外に傷なんか付けられてんじゃねえよ」
サンジは薄く笑んで、ジンジンと歓喜するように痺れる全身の感覚を、食い絞めるように味わった。
独占欲と嫉妬心と所有欲と征服欲を、おまえの全部を、もっとぶつけろと思う。
もっと、もっと。
この激情がたまらないから『復讐ごっこ』はやめられないのだ。
「手拭、取れよ」
ゾロは言われた通りに頭に巻かれた其れを外しながら
一文字ごとサンジの体を抱きこんで、其処此処にキスを降らせる。
見ると、淡い緑色の髪の毛にまで夕陽の色が混じりこんでいる。
東の空は紫に染まっていて、チラホラと星が散らばり始めていた。
腕の中で白い刀が、かちゃりと小さく音を立てる。
「ヒトのタカラモンに、手ぇだしちゃダメだよ、おっさん」
ゾロの下半身に篭った熱を刺激するように腰を押し付けて
激しさを増す口付けに応えようと舌先を伸ばした。
復讐の後にするセックスはいつも、燃え上がるみたいに情熱的だ。
アイツ、頭おかしいよ。
くつくつと笑いながらサンジは言った。
「おれの事好きすぎ」
ナミはもはやジンを瓶ごと飲み干しながら
アンタも同じ程度には頭おかしいわ、と思ったけれど口には出さないでおいた。
彼の手の甲には薄っぺらい絆創膏が一枚貼られている。
「でもああ見えて、ゾロってすげーイイコなんだよ」
サンジは米の酒が入っている瓶の口を指でなぞりながら、とろりとした眼をしている。
其れはいつだったか、ゾロが一番好きだと言っていた酒だったと思う。
サンジ自身の誕生日だったと言うのに、先刻まで何故かゾロの好物ばかり並んでいたテーブルの上。
「『復讐』の前にちゃんと、腹減ってるかどうか聞くんだ」
てめえら、腹減ってンのか。減ってねえよなあ?……減ってンのか減ってねえのかはっきりしやがれ。
其れはサンジの言いつけで、言わば『復讐ごっこ』における最重要ルールなのだそうだ。
「ね、ナミさん、カワイイとこあるでしょ……おれの、魔獣」
サンジはぼんやりとそう言うと、眼だけでラウンジの外を見てすっと落ちるように瞼を閉じた。
一拍置いてナミの耳に重たい靴音が聞こえてくる。
コイツ、と思いながら安らかで、いかにも間抜けそうなサンジの寝顔をじろりと睨めつける。
時刻はじき零時を廻る。三月二日ももう終わる。
ナミは一つ溜め息を零すと、仕方が無いので扉のほうに向き直った。
「ウソップの具合はどう?」
扉が音を立てて開いて、其の姿が現われたと同時に声を掛けてやる。
先手必勝はこの船の上では常識だ。
「あー……粗方吐かせて男部屋に放り込んできた。もう大丈夫だろ」
ゾロはかったるそうにそれだけ言うと、真直ぐにサンジの元へと向かった。
その時、テーブルに置かれているナミの手に一瞬注意を払ったのを、彼女は見逃さなかった。
別に触ってないから安心しなさいよと心の中だけで呟く。
ゾロはサンジが抱えるようにして持っていた酒瓶を取り上げると、其のまま口をつけて一気に呷った。
強く上下する喉仏。さっきまでサンジの指が愛しげに撫でていた瓶口。
この船のクルーには、酒に強いか弱いかのどちらかしかいない。
何事においても極端なのだ。
「てめえももう寝るだろ」
あくまでもサンジの顔から眼をそらさずにゾロは言う。
「何勝手に決め付けてんのよ」
いい加減に苛立ちながら返すと『見てくか?おれは別にそれでもかまわねえぜ』等と笑う。
「……冗談じゃないわ」
勢いよく立ち上がって、目を瞑ったままのサンジに一応
『ごちそうさま』を(色々な意味と嫌味を含ませて)言ってから背中を向けた。
二、三歩歩いたところで、ゾロが口を開く気配がする。
気がついていながら、ナミは進む足を止めなかった。
「……何を聞いた」
「…………」
質問というよりも、ただ呟いただけのようなゾロの声にナミは一瞬立ち止まって
聊か尋常ではない二人の想いと、サンジに紡がれた『復讐ごっこ』の螺旋を頭に描いた。
きっと其れを覗く事は、禁忌だったのだろうとは思うけれど。
自分から話すように仕向けた分(例え其れがサンジの思惑のうちの一つであったにせよ)
其れを恐ろしいと思う資格も権利も、ついでに言えば感覚も、自分には無いから。
だからきっと、ただ知らん顔をしていればいいのだ。
何となく分かる気がする。
サンジが、自分だけに其れを話した意味も。
彼らが二人共、ナミがそう結論付けるのを期待している事も。
過去も、今も、これからも、全部が線で繋がって見えるような気がした。
「別に、何も?」
ラウンジの扉に手を掛けて軽く言う。
けれど何だかこのままでは、自分自身の気持ちが治まりそうにないので
ナミは時計を見て、其れが日付を跨いでいるのを確認すると
『フリが下手ね、サンジ君』とだけ吐き捨てて外に出た。
狸寝入りだなんて、酔ったフリだなんて、本当に趣味が悪い。
結局全部が、彼の思惑通りに動いている。
甲板からも見える、はずの、復讐の丘の上。
今は闇に紛れていて存在を確認する事が出来ない。
あの場所には今もまだ其の残骸は転がっているだろうか。
強い横殴りの風が、パサついた髪の毛を掻っ攫おうとする強引さで掻き混ぜる。
掌で掴むようにして其れを押さえつけながら
ナミは何とも言えない胸のざわつきを、何度も反芻するように深く吸い込んだ。
ラウンジはきっと今頃、二人の愛の巣へと空間を歪められてしまっているだろう。
無風で、温かくて、仄かに明かりが灯っていて、酷く閉鎖的で、安心な感じに。
ナミの中に、そんな二人を心の底から疎む気持ちと、少しだけ羨んでしまう気持ちがある。
全く世の中は不健全で理不尽だ、と思う。何もかも。
せいぜい、地獄に堕ちてもそうやって戯れてればいいんだわ。
ナミは二人の失礼極まりない態度をわざと思い返してもう一度憤慨し直してから
それでも、随分とすっきりした気分で女部屋に戻っていった。
END.
| 千腐連コメント | ||
玉:闇予算
玉:すげぇ変換した!
フカ:予算、、、
きぬ:どんな埋蔵金<闇予算
玉:舞い臓器んだな
玉:うーん・・・
玉:うちのぱそこん、ばかだな
きぬ:エロでばかか
玉:どうしようもないな
フカ:ある意味、さすがだよ
きぬ:素敵すぎるな
玉:素敵パソコン
きぬ:普段打ってるものが打ってるものだけに
玉:うむ。
玉:改めて83yoさん二作目です。
きぬ:あい
フカ:ヤキモチ屋さんな二人。<大分違う
フカ:ゾロが自分の為に怒り狂うのが嬉しいサンちゃん
玉:あのねあのね
きぬ:ん?
フカ:あい
玉:嫉妬深くて独占欲強いゾロ萌え
玉:噛み癖イイね
玉:マーキング
きぬ:そこはかとなく漂うサンちゃんの優越感萌え
きぬ:これだけの男が、という
きぬ:俺に、という
フカ:いいねぇ。優越感。レディの前でも見せてしまうってあたり!
玉:そうそう
玉:ナミさんの前でのろけるサンジ(笑)
フカ:惚気まくりじゃないですか。
玉:はいはいごちそうさま、なナミさん
きぬ:聞きたくないような、でも聞きたいナミさん
きぬ:そりゃ聞きたいよね
フカ:出たな、デバガメ。
フカ:今日も絶好調にデバガメきぬこ。
きぬ:元気よ、とってもv
玉:覗キングきぬこ
きぬ:やめれ
きぬ:そんなあだ名はいらん
玉:ナミさんは意外と裏航海日誌とかにつけてるんだよ
フカ:あー、このサンジは自分でも記録とってそうじゃない?
玉:レシピノートの片隅に「今日は5発。全部中出し」って?
フカ:今日は4発、、、とか。
フカ:あ、っていきなり負けた。>玉は5発だったw
きぬ:ちんぴら君のさ、「俺の挿れたら壊れちまいそうだ」て台詞
きぬ:ばかめ、ぞろちん入るんだぞ、サンジには
玉:『今日は俺は4発、あいつ2発』とか
きぬ:それが後世残ってて、大剣豪の一大スキャンダル
きぬ:…むしろ箔が付くか
きぬ:「やっぱり凄かった大剣豪」か
玉:『ちんこで一回、乳首で一回、ケツで二回イかされました』
きぬ:一部マニアに大人気なんだな、大剣豪
玉:『今日は初めてケツでイかされました』とか(笑)
きぬ:歴史家たちは必死で見なかった事にしたいだろうな(笑
玉:そしてナミさんの裏日誌に『二人の中に進展あった模様。ゾロが一日中にやにやしててきしょい』とか書かれる
フカ:ナミさん、サイコー。(笑)
玉:ゾロは無表情なのににやにやなの
玉:なんか、表情変わってないけどにやにやしてるっぽい、こいつ、みたいな
きぬ:ナミさんのそれとサンジのメモとつきあわせて、色々妄想する後世の腐女子達
玉:なんておいしい後世の腐女子
きぬ:「このデービーバックの頃にデキたんじゃない?」「もっと前からよ」「空島あたり?」みたいな
きぬ:なんだ、今の私たちと一緒じゃん、やってることは<後世のふじょし
フカ:このゾロは、最初は激高してやってるけど、途中からいたぶってるわけだよね
フカ:サンジの視線、意識しまくってるってことじゃn
きぬ:普通の死に方はさせてやらん、とばかりに
玉:ゾロさん佐渡だから
きぬ:佐渡先生なんだな、一升瓶なんだな
玉:佐渡出身なのよ
玉:佐渡島
きぬ:アナライザーと同じ身長で横幅なんだな<佐渡先生
きぬ:年がバレるけど、もういいや
玉:もう手遅れよ
フカ:案外、ゾロも記録付けてたりしたら楽しいな。
玉:筆まめな剣豪
フカ:腹巻きにしまってるのよ
玉:腹巻の裏にポケット付いてるのよ
フカ:相手をいたぶってるオレを見て、コックは絶対イッてたと思う。とか。
フカ:マメマメしい剣豪
きぬ:それをサンジに見つかって半殺しにされるといい
玉:それか、日記の如くコウシロウに事細かに手紙かいてたらどうしよう
玉:『今日は三人殺しました。お肉を食べました。コックも食べました。』
玉:『コックは大変においしかったです。初モノでした。』
きぬ:コウシロウ、大弱りだろ(笑
フカ:や、ゾロの先生だもの。案外さらっと流したりして
きぬ:…微笑しながら『元気のようだね、ゾロ』って言ってそうで怖い<コウシロウ
玉:『そうですか、がんばってますね、ゾロ・・・』って
玉:笑顔で
フカ:笑顔だね
玉:すっごいいい笑顔で
きぬ:『先生はいつも言ってましたね。相手にはいつでも真摯に、と。だから俺も全力をもってコックを食いました』と
きぬ:コウシロウ『ああ、申し訳ない事をしたね、コックさんには。でも、がんばっているね、ゾロ』
きぬ:結局ゾロの事しか頭にないコウシロウ
玉:そうそう
フカ:先生だもの
きぬ:生徒の成長しか見てないコウシロウ
玉:それとかちょっとずれたアドバイスするの
玉:『いただくまえにはいただきますですよ』とか
きぬ:「ゴムはつけてあげなさい」とか?(それじゃ的確なアドバイスか
玉:『ちゃんとプロポーズをしてからくいましたか?』とか
フカ:充分に揉んでからの方が、柔らかくなりますよ、とか。
きぬ:わあ
きぬ:でもゾロは『先生が言ったとおりに揉みに揉んだら、硬くなりました』って
玉:うーん、それは揉むとこちがってるNE☆
フカ:今日は、敵も思う存分揉んでやりました。
玉:それはいっちょ揉んでやるぜてなものですね
きぬ:ねえ
きぬ:こんなクールで俺様目線でスマートなSSに
きぬ:なんでこんなコメントつけてんの、私たち
フカ:はっ
玉:はっ!
フカ:、、、ちふれだから。